クリシェ。

以下、コピペ↓


1月3日と4日の2日に渡って、NHK Eテレで「亀田音楽専門学校 J-POPの魅力に迫る」が放送された。昨年解散した東京事変の名ベーシストとして、さらには数々のJ-POPのヒット曲のプロデューサー/アレンジャーとして有名な亀田誠治さんが、J-POPのヒット曲の秘密を解説した番組だったのだが、大変面白かった。

1月3日の1限目は「泣ける歌 胸キュンコード学」と題して、コード進行からヒット曲の技法を解説した。キーワードは「クリシェ」

クリシェとはコード進行の中で1音を半音ずつ上昇または下降させる技法だ。例えば、C→CM7→C7→C6というコード進行では、C、B、B♭、A(以上、単音)と半音ずつ下降する音があり、最後のA(単音)が「行き場を探す」状態になり、これが歌を泣かせる要素になるという。この半音ずつ下降する音以外はCEG(ドミソ)の共通するコードとなり、C(コード)の安定状態からC6のAの不安定な状態を作り出し、これが次に展開されるD(コード)のD(単音)の安定状態で落ち着くことになる。番組では、これを「音符同士が恋をする」という言い方をしていた。

例として出されたドリカムの「Love Love Love」では、「ねぇ、どうして〜」と歌われる部分のコードにおいて、同じく半音ずつ下がるクリシェが使われていることを紹介していた。

ゲスト講師で参加していた平井堅さんが紹介したJ-POPは次の3曲。

  • 時の過ぎゆくままに(沢田研二)
  • カブトムシ(aiko)
  • Innocent World(Mr. Children)
いずれもクリシェが用いられた楽曲だ。

「時の過ぎゆくままに」では「ときのすぎゆくままに」の「ままに」の不安定さが、「カブトムシ」では「あなたのみみによせた〜」の「あなたのみみに」の不安定な部分が、クリシェを使った箇所である。いずれも、その後の安定状態を導くための「音の待ち合わせ」場所である。

一方、「Innocent World」でのクリシェの使い方は「サビへのジャンプ台」だ。サビ直前の「Mr.Myself」の部分のメロディはコード進行で言うとG#7→Aと移る部分であり、この部分は無くてもサビ前からサビまではつながる。実際、番組でこのクリシェ部分を抜きにして、平井堅さんが歌ってみていたが、つながることはつながるのであるが、なんとも盛り上がりに欠ける。つまり、この部分のクリシェの存在はサビに向けて不安定から安定を作り出すために必要な部分だ。

同じように「サビへのジャンプ台」としてクリシェを使っているのが、平井堅さん自身の「瞳をとじて」だ。サビ直前に「Your Love Forever」と歌いあげる部分があるが、これは最初は無かったそうだ(平井堅さん談)。盛り上がりを作り出すために、クリシェを挿入し、今の形になったという。ここのコード進行はG7→G7/B→A♭M7。番組では、この最後の「A♭M7」を「涙ためコード」と呼んでいた。

1限目の最後に紹介された曲は松田聖子さんの「瞳はダイアモンド」。この曲は「クリシェ三昧」と言えるほど、クリシェが使われている。ルート(根音)が下降するクリシェで、自然とその対位になる形でメロディ(主旋律)が上昇する。作曲者は呉田軽穂さん、ユーミンだ。さすが。

1限目はこの「瞳はダイアモンド」を平井堅さんが歌い、亀田誠治さんがベースを弾くという贅沢な生演奏で終わった(アレンジも亀田誠治さん)。

1月4日に行われた2限目は「泣ける歌 メラメラのメロディ学」と題し、「メラメラ=情念」をテーマに解説が行われた。キーワードは「リフレイン」

まず取り上げられたのが、小田和正さんの「ラブストーリーは突然に」。「あのひあのときあのばしょできみにあわなかったら」の部分は同じメロディを繰り返している。これがリフレインだ。ベートーヴェンの運命などでも使わているようにクラシカルな手法だという。

この繰り返しの後に続くメロディと合わせて、せき止めていたものを吐き出すような強い効果があるという。番組では「人に気持ちを伝えるには繰り返し言うでしょう」という説明もされていた。

サザンの「真夏の果実」も同じくリフレインを効果的に使った楽曲だ。「ラブストーリーは突然に」が小さな箇所を繰り返していたのと比べて、こちらの「真夏の果実」は大きな箇所を繰り返している。

平井堅さんが紹介したのは、次の3曲。

  • 本能(椎名林檎)
  • Automatic(宇多田ヒカル)
  • お久しぶりね(小柳ルミ子)
平井堅さんいわく、「メラメラというのには演歌的なものを感じる」。マイナーキーで歌い上げるものであり、歌唱法としてもビブラートなどを効果的に用いることが多いという。宇多田ヒカルさんの曲も声が特徴的だ。昭和歌謡のようなものが好きだという平井堅さんは小柳ルミ子さんの「お久しぶりね」の桜の花びらがひらひらと舞い落ちるような歌い方に憧れたと言っていた。

「メラメラ=情念」と言ったら、この人でしょうと言って紹介されたのが、中島みゆきさん。それも「わかれうた」が例に出された。この曲はリフレインとともに、「音符1つ1つに言葉をはめている」のが特徴的だという。「短く、等間隔」に言葉が音符に載せられる。これにより「縦」のノリが作られる。人は強調したいときに「だ・か・ら」とか「はっきりいって」(この2つとも本当は「傍点」を入れたい)のように、一音一音を区切って発音する。これと同じような効果があるという。番組では、同じ中島みゆきさんの「時代」が横に流れるような歌になっているのと比較していた。「時代」をわざとスタッカートで平井堅さんに歌ってもらうなどもして、わかりやすく解説していた。


2限目の最後は平井堅さんや亀田誠治さんの生演奏で、平井堅さんの「告白」。この「告白」もリフレインを用いたものであり、「わかれうた」のように一音一音をしっかりと音符に載せたものとなっている。

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わずか30分ずつの番組であったが大変濃い内容のものであった。言葉ではなかなか伝わらないと思うので、もし再放送があったら是非見て欲しい。お勧め。

引用→
http://takuyaoikawa.blogspot.jp/2013/01/blog-post_7.html

「たとえば、じぶんがクルマだったとしたら、走りたいと思うんだ。」

ほぼ日_20130107 ・たとえば、じぶんがクルマだったとしたら、  走りたいと思うんだ。  速く、すっごいスピードで走りたい。  わぁっとみんなをびっくりさせるような速度で、  走り回りたいと思うんだ。    ずっと、どこまでも遠くまで走りたい。  ガソリンの最後の一滴がなくなっても、まだ、  走り続けていたいと思うんだ。  たくさんの人たちを乗せて運びたい。  憶えたての歌を歌うこどもたちとか、  何百人でも乗せて走りたいと思うんだ。  たとえば、じぶんが歌だったら、  じょうずでも、へたでもかまわないから、  みんなに歌ってもらいたいと思うんだ。  たとえば、じぶんが野うさぎだったら、  地面にいっぱい穴をほって、いっぱい逃げたり、  いっぱいはねたり、いっぱいこどもつくったり。  野うさぎっぽいこと、いっぱいしたいと思うんだ。  たとえば、じぶんが生まれたての人だったとしたら、  なにができるのかわからないままに、  できることを探したり増やしたりしながら、  なにかやらせて、なにかやらせてと動くんだろうな。    クルマでも、歌でも野うさぎでも人間でも、  できることはぜんぶやったなぁと感じるのが、  いちばんのあこがれだよなぁ。    このからだを、このこころを、この知恵を、  この思い出を、このいのちを、  まるまるまるごと使い切れたら最高だよな。  できるかもしれないことは、したい。  できることは、もっとじょうずになりたい。  生まれたての人のようにね。 今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。 生まれたての人だったとき、ものすごく生きたがってたね。