・これはまた聞きの話なのだけれど、
いまの九重親方、かつての大横綱千代の富士さんが、
「明日、明後日に勝つための稽古がある。
もうひとつ三年先に勝つための稽古をしていた」らしい。
これもまた、おそらく、なのだけれど、
「三年先」のための稽古をすることで、
明日や明後日の白星によからぬ影響を与えることは、
きっとあると思うのだ。
それは、いま現在うまくいっているバランスを、
変えてしまうようなことなのだろうから。
しかし、明日の勝ち星ばかりを奪おうとしても、
やがて、それが行き詰まるという日がくる。
なにかを本気でやっている人なら、よくわかるはずだ。
ずっと同じやり方では、次第に勝てなくなるのだ。
だから、明日も勝つために稽古をし、
三年先にさらに強くなっているための稽古を、
さらに付け加えることが必要になる。
相撲に詳しいわけじゃないから、
知ったかぶりはできないけれど、
相撲の世界にも、この「三年先」のための稽古を、
意識的に採り入れている力士は、少ないのではないか。
そんな気がするのは、ぼくの想像できる業界でも、
そういうことが言えると思うからだ。
「いまうまくいっている」人は、どうしたって、
その、うまくっている状態をキープしたくなる。
あるいは、その状態をちょっとよくする努力をする。
でも、少しずつましになるくらいでは、
どうしたって寿命がくるものなのだ。
それはもう、定理みたいなものである。
だから、いま現在に多少の悪影響があったとしても、
三年先に活躍する、もうひとつの勝ち方を
準備しておく「勇気」が必要になるのだと思う。
これは、できそうで、できないものなのだ。
「イノベーション」とは、そういうものなんだと思う。
いま(現在)を壊滅させちゃったら生きていけない。
しかし、いま(現在)に安住してたら死んでしまう。
しかも、どんな稽古をしたら三年後の強さに至るのか、
それがなかなかわからないから、さらにむつかしい。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
手足をつけられる夢って、アイディアの芽が隠れているね。
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